
はじめに
以前から気になっていた「魔法少女ノ魔女裁判」を配信にてクリアしました。配信アーカイブはこちら。
プレイ時間:約48時間
全エンド回収済み
クリアした上での「良かった点」「気になった点」などを述べていきます。プレイしている序盤から「これダンガンロンパそのまんまじゃん!」と思いながらプレイしていたため、随所でダンガンロンパと比較しながらの感想になることをご了承ください。
良かった点
膨大なボリューム&全編フルボイス
「死に戻り」の特性上、ストーリーはかなり長い。にも関わらず、その全てにボイスが付いている。議論中に誤った選択肢を選んだ際のやり取りにも全てボイスが実装されているため、ボイス量が非常に多い。これは声優好きとしても嬉しい。エマ・ヒロの主観でストーリーが進むが、頭の中で考えて実際に発していないセリフに対してもボイスが実装されており素直に凄いと思った。インディーゲームではあるが、そこらの企業ゲームよりボリュームがあり、クオリティも高いと感じた。
捨てキャラクターがいない
推理ゲームに「魔法」の概念を持ち込んだことで、2周目が存在する。1周目のエンディングのスタッフロールが反転するのは「STEINS;GATE」を彷彿とさせた。最初から魔法を明かすことなく退場していったヒロが、エンディング後に主人公として2周目に突入した際は驚いた。本来、デスゲーム系ではどうしても序盤に死ぬキャラは深堀りされず空気になりがちな傾向があるが、2周目でヒロが生存することで犯人と被害者が様変わりし、全キャラクターに出番がある構造になっているのが良かった。
捜査パートの簡略化
1章の時点で、事件発生後の捜査パートがかなりあっさりしているのが印象的だった。ダンガンロンパや逆転裁判では、現場検証などをしっかり行って証拠を十分に揃えた上で裁判に臨むことが前提にあったので「え!?もう裁判始まるの?!」と驚いた。もちろん、捜査パートで各場所に赴き、証拠を揃えていく面白さもあるが、あくまでもメインは裁判。この割り切りによって他作品にはないテンポの良さを感じられた。2章は事前投票が始まり、全ての殺人に置いてヒロが疑われ続けるため一切捜査に参加できず、裁判の中でみんなの発言から証拠を揃えていくのが新鮮で面白かった。
会話主体の裁判
本作の裁判パートは、ダンガンロンパの「ノンストップ議論」と同じ手法が取られている。ダンガンロンパでは裁判中にドライブゲームをさせられたり、音ゲーが始まったり「これいる?」と思うようなミニゲームが裁判中に挟まるのが定番だった。別にそれらの要素を完全否定するつもりはないが、若干鬱陶しく感じることもあり、本作は純粋な言葉のやり取りのみで進行するため、ストーリーに集中できて快適だった。また、裁判での各キャラクターの発言もあからさまに間違っている発言がほとんどなく、発言量の差はあれど全員が何かしらの形で裁判に関与している(空気キャラがいない)のも良かった。
程よいトリック、難易度
正直に言って、本作のトリックはダンガンロンパほど手の込んだものではないものが多い。それもそのはず、ダンガンロンパでは「犯人が裁判で投票されずに逃げ切った場合、1人だけ帰れる」という明確な殺害するメリットがある以上、綿密に計画を立てて犯行に及んでいるケースがほとんど。(例外あり)
それに対して、本作では殺害することのメリットは存在しない。魔女化が進むにつれて殺意を抑えきれなくなり、衝動的に犯行に及ぶケースが多いため、トリックが比較的単純になっていると想定できる。ただ、そのおかげで「ゲームを進めながら、プレイヤー自身もリアルタイムに一緒に推理できる」ぐらいの程よい難易度になっていた。
主人公(二階堂ヒロ)が格好良い
正直、1章よりも2章の方が好きだった。それは主人公の好みによるところが大きいと思う。2章の主人公であるヒロについて、最初は「煽り耐性0、協調性の欠片もない冷徹女」かと思っていた。しかし、意外と面倒見が良くて人情味に厚い。自らの行いを「正しさ」で判断しようとしているが、罪を犯した仲間が処刑されるのを見て、犯人が裁かれるのは「正しい」筈なのに割り切れず、迷いながら処刑ボタンを押し、ボロボロと涙を零す。この自分の中に矛盾を孕みつつ、突き進んでいく姿が非常に魅力的だった。
・冷徹になり切れない人情味と矛盾を抱えている
・正しさに拘りつつ、偽証してでも信用を得ようとする泥臭さ
・セリフ回しがいちいち厨二臭いくて格好良い
このダークヒーロー感、目的のために手段を選ばない一途さは、『コードギアス』のルルーシュを彷彿とさせた。他作品の主人公と比べてもかなり好きなキャラとなった。


デフォルトでドヤ顔なのもそれっぽい
気になった点
「魔女裁判」のルールの甘さ
魔女裁判のルールについて以下のように説明される。
・特定できなかった場合は全員処刑する
まず最初に思ったのが「特定できなかった」というのは、どういった状況を指すのか?管理者側が常に全員の動きを監視しているわけでもなく、投票が終わった後にその投票が「正解かどうか」の判定もない。現に、1章4話にて、エマは犯人でないにもかかわらず、最多投票で処刑されかけていた。つまり、最多投票だった人が「本当に犯人だったか」はどうでもよく「とりあえず最多投票の人を処刑する」ということになる。では、「特定できなかった場合は全員処刑する」というパターンは存在しないのでは?あり得るのは、誰一人として投票しなかった場合。この場合は確かに”特定”できていないことになると思うが、そんな状況は存在するのか?まぁ、そもそも魔女裁判が開く目的が魔女化であるため、裁判自体にそこまで拘りはなく凝った設定にしてない、という黒幕側の”適当さ”を表しているのかもしれない。この魔女裁判のルールの穴であったり、黒幕側の杜撰さを突いた魔法少女からの謀反的な展開があるかと期待したが、特になかったので少し拍子抜けした。
魔法による”ご都合展開”
『「魔法」の時点でご都合なのに何を言ってんだ?』と感じるかもしれないが、犯人のトリックを暴く段階で、「え、そんなこと出来るの?」という時は大抵魔女化による魔法の暴走であったり、ミリアの入れ替わりの魔法が暴走した際には、他の世界での全ての記憶が”都合良く”共有されたり、いくら魔法とはいえ制作側の都合に合わせた展開が目立つのが気になった。まぁ死に戻りもご都合の極みだし今更か。
読みやすい展開
基本的に殺人を犯した犯人が処刑直前に自身の禁忌を明かす構成になっているため、2章の1話にてマーゴが犯人だった時点で『1章で禁忌が明らかになっていない「ナノカ、ノア、ハンナ」が残りの事件の犯人になるんじゃないか』と予想していたら、見事に当たってしまった。
「2章は1章とは別の犯人になる」とゲーム側からの匂わせがありつつ、1章と同じ犯人や加害者を”あえて”出すような「外し」を心のどこかで期待していたが、そういったことはなく、綺麗に禁忌が明かされていない者が順番に殺人を犯していくため、かなり展開が読みやすかったのが残念だった。
ユキの最後
ここが一番納得がいかない。
「大魔女であるユキが世界中にバラ撒いた魔女因子を全て引き取る。エマ・ヒロと一緒に帰ることはできない」というのは理解できる。ただ、そこでユキがなぜ死ななければいけなかったのか、その正当性が一切分からなかった。プレイ中も気になって、その理由について言及されていたシーンを見落としていたかと思い、プレイ動画を見返したが分からなかった。
・魔女因子があるのは自分だけだから、見つからないように隠れて過ごすよ
という方が話の流れとして綺麗じゃないだろうか?それで、魔女因子を抱えたユキが1人で離れていこうとするところに、メルルが一緒に付いていく。で、最後のエンディングで、昔の写真みたいに二人で暮らしてる姿でも見せてくれれば、それだけで「あ^~」となるし、エンディング後の次回作への匂わせにも合理性が生まれるし、解釈の幅が広がると思った。「ユキには幸せになってほしい」という、昔の魔女たちの希望にもそぐわない結末だし、これに関しては納得がいっていない。自分がハッピーエンド好きというのを抜きに考えても、死ぬことに対する正当性が見当たらない。
やたら多いバッドエンド
この作品はそこそこの頻度で選択肢が登場するが「選んだ選択肢で話が変わる」といったことはなくストーリーは一本道であり、誤った選択肢を選んだ場合はバッドエンドに直行する。このバッドエンドがやたら多く、かつ本編には直接関係ないものだらけなのが気になった。
最終章の「サバトの儀式を行わない」のように、本編に直接関係のあるバッドエンドであれば本編の補完として必要だと思うが、全く関係がないバッドエンド(穴を掘ったら地雷に当たって死亡、鏡の世界に閉じ込められて終了など)はエンディング数を水増ししてるだけに感じるので不要と感じた。
好きな話
1章 2話
純粋にトリック自体が面白い。犯行に魔法を使用しているものの、あからさまではないため即犯人に繋がりにくい。最初のアリバイやミリアとの関係性から「アンアンは除外!w」と決めつけていたので中々衝撃的だった。アンアンがエマを憎むのは納得するとして、急にミリアからの「実は入れ替わってました~w」を聞いて、裏も取らず、すんなり信じて凶行に及んでいるのはちょっと気になった。
2章 2話
エマ・ヒロのシャワールームでの約束や、ココがシャワールームを背景にして配信してる事実が絡んでややこしくなってるものの、紐解いてみるとナノカの犯行自体は至極単純という構造が綺麗で良かった。ついでにプレイしながら気持ちよく推理できたから気分が良い。
ナノカと看守には何らかの関係性がある伏線や、地下にあった過去の魔女裁判の資料にナノカの名前があるなど、1章で貼られた伏線が回収されたのが良かった。普段低い声のナノカが感情を荒げて高い声を出すと胸が締め付けられそうになる。
2章 3話
2話で「ヒロがエマを殺そうとしていた」のに対し、3話では「エマがヒロを庇う」という対比構造が良かった。事件の傍観者だったエマが身代わりになり、当事者だったヒロが、エマの行動を”お節介”ではなく”覚悟”として受け止め、エマを救うために裁判に挑んでいるところに、二人の関係性の変化とヒロの感情の変化が見えて良かった。ついでに犯人となったノアの反論が意外に鋭く、挑戦的な顔が非常に良い。ただ局所的な雨が話題に出た時点で「あ、ノアだ」と思考はロックされた。結局合ってた。
好きなキャラ

総評
デスゲームに「死に戻り」の要素を取り入れることで、全てのキャラクターに出番があり、魅力を感じられるように作られている作品だった。ただし、本編のストーリー、トリックなどについては良くも悪くも順当であり、ダンガンロンパのような衝撃的な伏線回収、大どんでん返しのようなものはない。よってその部分を期待していると肩透かしを食らうことになる。しかし、推理パートは適度な難易度で面白く、極限状態における魔法少女たちの関係性の変化や絆を描いたキャラゲーとして良作だと思った。
魔法少女ノ魔女裁判とダンガンロンパはどちらも同じ要素を持ちつつ、魅力がある部分はそれぞれ異なる。魔法少女ノ魔女裁判が好きな人にはダンガンロンパをプレイしてほしいし、ダンガンロンパが好きな人には魔法少女ノ魔女裁判をプレイしてほしい。強くそう思う。


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