
はじめに
こんにちは、Miyaです。
今回はSwitchにて『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』をクリアしたので感想を述べていきます。
プレイ時間:約12時間30分
結論から言うと、めっちゃよく出来たADVだと思った。言い方悪いけど「スクウェア・エニックスってこんな良いADVを作れるんだ」と感心した。そもそもスクウェア・エニックスにADVのイメージがなかったこともあり、良い意味で予想を裏切られた。
特に良かったのは、360度見渡せる画面と多彩なカメラアングルによる臨場感、複数の主人公によるザッピング、そして別々に進んでいた物語が一つの事件へ集約されていく物語構成。オプション設定などのゲームシステムまで物語の仕掛けとして利用し、プレイヤー自身をゲーム内へ介入させるメタ構造も丁寧に描写されていた。
一方で、ストーリーチャートの仕様や、一部の展開には気になるところもあった。また、物語の結末は自分の好みではなかった。
以下、良かった点と気になった点を詳しく書いていきます。
良かった点
『パラノマサイト』の良かった点
臨場感のある演出&グラフィック
本作で一番感動したのはこれ。
一般的なノベルゲームでは、固定された背景の上に正面を向いたキャラの立ち絵が配置され、表情やポーズの差分で会話が進むスタイルが主流。
それに対して、本作では360度見渡せるカメラワークを活かし、空間の中でキャラクターが実際に存在しているかのような躍動感を生み出している。
立ち絵でありながら、場面に合わせてカメラアングルが多彩に切り替わり、キャラの立ち位置や距離感を変化させることで、一つの場面でも抑揚が生まれている。また、立ち絵も正面だけでなく、後ろ姿や横を向いている姿、中には座っている姿まで用意されているため、キャラクターの動きや立体的を感じることができ、実際にその場にいるような臨場感がある。

立ち位置や遠近感の表現が最高
さらに、発言に合わせた口の動き、カットインのように顔が大きく映るカメラワーク、角度をつけた構図など映像的なメリハリが効いている。一般的な立ち絵主体のノベルゲームよりも画面に変化が多く、物語への没入感を引き立てていた。

座っているところから

立ち上がる姿まで描写され動きを感じる

春恵の慟哭
これらの演出&グラフィックは非常に素晴らしいと感じた。
「全てのノベルゲームがこれを採用してほしい!」と思うほどだった。もちろん、コスト的に厳しいだろうけど、本作はボイスを実装してない分ここに力を入れているんだと思う。
ザッピング群像劇
本作は複数の主人公の視点を切り替えながら物語を読み進める、ザッピング形式の群像劇。
興家視点で物語が始まるも、葉子が早々に死亡し、その末に興家も死亡する。ここでオープニングのような形でタイトルが表示され「ここからが本番」という雰囲気を感じた。
ストーリーチャートが解放され、主人公として「津詰徹生、志岐間春恵、逆崎約子」が追加される。津詰はまだ主人公っぽいが、春恵と約子が主人公なのは意外だった。
この複数人の視点を切り替えながら読み進めるのは『十三機兵防衛圏』を想起させた。

ただし、両作品では物語の規模が異なる。
『十三機兵防衛圏』は主人公が13人ととんでもなく多く、物語全体のスケールも壮大。対して本作は、限られた場所と時間の中で発生する事件を、限られた人数の視点から追っていく構成になっている。
『十三機兵防衛圏』も非常に面白いゲームではあるものの、13人分全てが主人公であり、それぞれ膨大なストーリーが用意されている。それだけの人数の視点を行き来しながら物語を把握する必要があるため「ストーリーを理解すること自体が困難」という難点があった。
その点、本作は3人という少人数の視点、かつ3人とも「呪主」という共通点があり、活動場所もほぼ同じであるため、視点を切り替えてもストーリーを見失わずに把握しやすく、ザッピング群像劇として非常に遊びやすくまとまっていた。
別々の物語が一つへ集約されていく
ザッピングが最も活きるのは、それまで別々に進んでいた登場人物たちの物語が交わる場面。最初に利飛太と津詰が接触した時はテンションが上がった。
それぞれ異なる目的を持って動いていた登場人物が出会い、一方の視点だけでは分からなかった情報が、もう一方の持っていた情報と繋がり、物語が一気に前進するような感覚があった。
この物語が集約していく気持ち良さはザッピングの醍醐味だと感じる。
プレイヤーが物語へ介入するメタ要素
本作の感想を語る上で外せないのが『メタ要素』。
ゲーム開始時、案内人から呼び名を指定させられ『みや』と指定したにも関わらず、「『Miya』様ですね?」とSwitchのニックネームを指定してきた。
また、並垣と対峙する場面では、一定時間呪影の声を聞くと呪いが発動する。そこで「声が聞こえないように対処する」必要があるが、オプション設定からボイス音量を下げることで解決する。自分はヒントを貰うまで気付かなかった。
確かに、ゲーム開始時に「ボイス音量も設定できる」と説明され「へぇ、このゲームはボイスがあるんだ」と思ったことは覚えている。しかし、実際にはゲーム内にキャラクターボイスは実装されておらず「あ~このためにボイス設定があるのか」と納得させられた。一般的なゲームに存在するオプション設定が物語に影響を及ぼすのは面白かった。
この他にも、プレイヤーが知っている情報を与えて『え、なんで今〇〇したんだろう。』と登場人物達が戸惑う様子が出てくることから、プレイヤーにも何らかの物語上の設定や役割が与えられていることは想像出来た。
逆に言えば、メタ要素に関する描写が丁寧だったからこそ、終盤のタネ明かしに於いて説得力が増し、素直に納得することが出来た。
オカルトが存在する世界への説得力
大前提として、自分はオカルトが好きではない。
プレイ前の印象だけであれば、自分の好みとは合わない可能性もあった。しかし、本作のオカルト要素については比較的すんなりと受け入れることが出来た。
理由として、このゲームの世界観においてオカルトが実際に存在するものとして扱われるまでの経緯や、それに対応する組織と人物が描かれていたことが挙げられる。警察にはオカルトに対応する部署が存在し、呪いや怪異に関する事件を捜査している説明があり、女子高生のミヲが呪いに関する事件の解決に以前から尽力している描写もある。
怪異が存在することを前提として、それらへ対処する人物や仕組みが作られているため、普段はオカルトをあまり好まない自分でも「この世界では呪いや怪異が存在する」という前提を受け入れることができた。
ただ、序盤の急に女の子が画面いっぱいに出てきて驚かすような演出は、ドキっとするだけで別に面白くないからやめてほしい。
気になった点
ストーリーチャートを気軽に確認できない
ストーリーチャート自体は、各キャラクターの時系列や行動を視覚的に捉えることができるため個人的にも好きなシステムだった。また、本作では以前までのあらすじが細かく記載されているため、別の視点から戻ってきた場合でも、直前まで何をしていたのか確認してからストーリーを進めることが出来る。
ただ、そんな便利な機能があるのに、それを気軽に使用することが出来なかったのは残念。ストーリー進行中、別の視点に移りたいわけではなく「そういえばこの時間の〇〇は何してたんだっけ」と気になった時にストーリーチャートを開こうとすると、強制的にそれまでの物語が終了され、最初に戻される仕様は非常に鬱陶しかった。
ストーリーチャート自体はいつでも開けるようにした上で、違う場面を選択して移動するタイミングで注意文言が出るような設計にしてほしかった。
資料を読むのが面倒
本作では、登場人物のリストや本所七不思議、呪詛に関する資料をメニューからいつでも確認できる。資料の文章量はかなり多く、細かな部分まで設定が作り込まれていることが窺える。情報が更新される度に、一応全て読んでいた。
ただ、特に過去の陰陽師に関する説明を読んでいる時は少し眠くなった。物語の本筋を進めたいところで、伝承や呪いの条件を確認するためにメニューを開き、まとまった量の文章を読む必要がある。もちろん、その資料に後の謎解きであったり、ストーリーに関する重要な情報が含まれているため、基本的には読み飛ばすわけにもいかない。(本当に必要な箇所は会話の中で触れてくるため、読まなくても楽しめるのかもしれないが。)
設定が細かく作られていること自体は長所である一方、資料を読む作業自体もストーリー進行の一部のような扱いになっているため、単なる説明文を読む時間が度々発生するのは少々しんどさを感じることもあった。
ストーリーについて
根島はどうやって包囲網を突破したのか
警察に包囲された根島が、あやめを人質として連れたまま逃走する場面。ここでは津詰と襟尾に挟み内にされ、その他にも警察官を配置している描写があるにも関わらず、なんと逃げられる。この時点でおかしいと思うが、近くに車などの逃走経路や逃走手段が用意されていたのであればまだ分かる。
しかし、この場面では根島は人質であるあやめを引っ張りながら、徒歩で警察の包囲網を突破している。
いや、無理がありすぎる。
根島が余裕綽々だったから、何かしら呪いなど逃げるための切り札があると思っていたが、まさか何の策もないとは恐れ入った(皮肉)。BAD ENDでは川に飛び込み、それもな ぜ か見つからず大量虐殺される。
さすがにこの場面は現実味がなかった。
逃走直後に根島は公園内で死亡しているが、逃走が成功していること自体が意味不明すぎてあまり頭に入ってこなかった。
津詰とあやめの対峙
津詰とあやめの対峙、展開としては「父親 vs 娘」の構図でアツい。
ただ、あやめが決して譲れない何かを背負ってるなら「ああ、相容れない二人の哀しい対決だ」となるけど、実際は『葛飾北斎の復活』という身勝手な願いであるため、心のどこかで若干白けた気分になった。いや本人からしたら本気なんだろうけど・・・。
問答の末「私は実の娘じゃないんでしょ」というあやめからの問い掛けに対して、津詰は「正真正銘俺の娘だ!」と言い放ち、直後に『津軽の太鼓』の呪いが発動しボコボコにされるが、かろうじて生き残る。
この場面を見た時
という解釈をして「さすが津詰!こんな奴でも心から娘だと思ってる!お前はそういう奴だ!かっけぇ!」と盛り上がってっていたら、そのまま津詰が死んだ。
あ、あれぇ?
えぇ・・・ここは生きてた方がロマンがあって良くない・・・?
真エンドについて
プレイヤーの正体
終盤では襟尾視点となり、ミヲと2人で解除の術について情報を得るためお守りを調べる。
そんな中で突如現れた葉子。
「あ、葉子がセイマンの末裔ってこと?」と思っていたら、普通に『置いてけ堀』の呪詛を行使して特攻してきた。こいつ、こんな好戦的だったのか……。
ここで葉子がアシノであるということが判明しエンディング。案内人から「この結末が気に入らないなら、プレイヤー自身の手で切り開いてください」と提示され、興家視点で葉子が死んだタイミングまで戻る。(もちろん攻略サイトを見た。)
セイマンの本体が『送り提灯』であることは理解していたが「本来は蝶澤に取り憑くはずだった『送り提灯』が、セイマンの肉体と意識に引き寄せられて一時的に最初の公園へ現れていた」というのは流石にわからん。
それは置いといて、プレイヤーの正体が「セイマンの意識」そのものというのは得心がいった。ここまででプレイヤーに役割がある描写が丁寧にされていたし、既に似た仕組みを利用したゲームをプレイした経験があるため「あーそういうことね」ぐらいの感覚だったが、初めてこの手のゲームをプレイした人にとっては衝撃が大きいことは想像に難くない。
最初に葉子が命を落とした理由も、興家に入ったセイマンの意識が、無意識に『送り提灯』の呪いを発動させていたため。意識だけの状態で呪いを行使できている点と、それが無意識で行われているという点はご都合主義に感じなくもないが、話の筋道としては理解できる。
序盤に案内人から問われた「興家は何人呪い殺したか?」という質問は「プレイヤー自身が自発的にコマンドを選択したかどうかの違いだった」というのも腑に落ちた。確かに、コマンドを押さずに会話を進めても結局殺していたので「じゃあ俺が押す意味ないじゃん」とは思っていた。
黒幕について
黒幕が葉子と判明し「呪いを止めるにはここで殺して止めるしかなった」と言われた時は「何も知らない状態で死ぬ葉子が気の毒だ」と思っていた。
しかし、更新された人物リストを確認すると、一連の出来事は最初から葉子自身の意思で仕組まれており、思っていた以上に完全な黒幕だった。
最初の興家の視点で、冒頭であっけなく退場する描写があったこと、葉子のことを「そこまで重要ではない、見せしめの死」と思い込ませされ、その裏で「実は一番最初の段階で最大の巨悪を撃破していた」という見せ方は想像していなかったので驚いた。
少なくとも自分は全く葉子のことは怪しんでいなかった。終盤も「『置いてけ堀』だれが持ってるんだろ~?」ぐらいに呑気に考えていた。アホすぎる。
結末について
一方で、作品全体の「結末」については、自分の好みとは少し外れていた。
最初の時点へ時を戻し、これから起きる事件を未然に防ぐ結末になるため、これまで各ルートで積み重ねてきた出来事が夢オチに近い形になってしまった寂しさが拭えない。
もちろん津詰が生きているのは嬉しいが、霊夜祭前に亡くなっている吉見や美智代は変わらないし、春恵が呪詛珠を捨てるまでに積み重ねた葛藤や決意も全て無かったことになる。
別々の登場人物たちが出会い、互いに情報を交換し同じ事件へ集約されていく過程を歩んできた。その積み重ねが無に帰すため、あまりすっきりしない終わり方だった。「その過程があるから、この結末に来ることが出来た」ということなんだろうけど、だとしてもすっきりしない。
個人的には、時を戻して解決するのではなく、最後は襟尾やミヲ達が黒幕である葉子と対峙し、プレイヤーの介入もあって黒幕であることを見抜いた上で、呪詛珠の条件を探り合うような展開の方が良かった。これまで事件を追ってきた人物たちが、自分たちの手で黒幕を倒す結末の方が、より大きなカタルシスを得られたと思う。
プレイしてて詰んだ箇所
白石美智代がいた場所
(実際には詰んだわけではないけど、苦戦したので記載)
白石の父親である岩井が殺されて、白石は本当に生きているという話に。そこで案内人の所に戻されて質問。
「朝8時時点で、白石美智代がいた場所は?」
ぜ、全然わからん・・・。仕方ないから総当たり。9回間違えた😭
適当に選んでたからどの場所が正解だったかわからず、Switchで録画をして「駄菓子せんのや」が正解だったことを把握。
と思って約子の呪いを見てみたら、思いっきり「転落死」って書いてあった・・・w
一応読んでいた筈だけど、そこまで深く吟味してるわけではないので・・・。
考察を重ねて真相に辿り着く面白さもあれば、こうして事実を突きつけられる面白さもある、ということにしておく。
札を剥がす順番
ミヲちゃんから全部ヒントを聞いても全くピンと来なかったので攻略サイトを見た。哀れな俺を許してくれミヲちゃん。

そんな目で俺を見るな・・・!
ミヲちゃんから7回かかってることを冷笑されて泣ける。7回で済んだのは攻略サイトのお陰なんだよミヲちゃん。
あなたの手で切り拓く
ENDING No.5の後、案内人から
って言われたけど、さっぱりわからん。やったことがあるのボイスOFFにすることぐらいなんだけど・・・。葉子の声を聞かなければいいのかと思ってボイスOFFにしたり、色々試すも何も起こらず。意味不明だったので攻略サイトを見た。
これはわからん。
わかるわけがない、ふざけるな。せめてもっとヒントを寄越せ。
キャラクターごとの感想
全員に触れるのは面倒なので特筆したいキャラクターのみ。
津詰 徹生
いかにも強面の刑事の見た目で、かなりノリが良いのが好きだった。根島が娘の住んでいる場所を知っていたことに対し「えっ……!? そうだったの……!?」という反応を見せた時は声を出して笑った。

襟尾 純
ペルソナ4のようなベテランと新米の刑事コンビなだけあって、最初から襟尾ポジションが怪しく見えてしょうがなかった。
春恵編で
・呪主にはなっていないかもしれない
・監視できる立場にいる
という話が出て「襟尾がめっちゃ当てはまってる・・・」と思ってた。
吉見を殺したのが同期の襟尾ならショッキング、かつ油断を突いたってことで納得がいくし「女性の陰陽師(アシノ)だから女性に取り憑いていると思いきや、実は男に憑いていた」という意外性もあるため、そうだとしか思えなかった。
また、登場人物の誰もが何かしら呪いの根幹に関わっている中で、襟尾は事件を捜査しているものの、本質的な部分には絡んでいないのが気になっていた。夜通し懸命に調査していて、襟尾自身に特に欠点が見当たらないため、それもまた黒幕というキャラ付けの伏線かと思っていた。
極めつけは、終盤に『襟尾純 視点』へ切り替わった時。ミヲに話しかけた際に「今度は襟尾刑事に……?」と言われたことや、その場面で流れていたBGMが不穏だったこともあり「やっぱりアシノに取り憑かれていた黒幕だ!」と確信した。結局違った。つまり「今度は襟尾刑事に……?」って、セイマンのこと?ややこし~~~~。
襟尾自体は良い奴だったので、徹生のこともあって「黒幕であってほしくない」と思っていた。そのため、黒幕じゃなくて良かった~!と思う反面「襟尾が黒幕だった方が面白かったんじゃないかな~」というわけのわからない感情になっている。
逆崎 約子
最初から白石に取り憑かれていた可哀そうな子。プレイヤーは以前の約子を知らないから、性格が変わっていても気付きようがないのがミソですね。
約子が白石に取り憑かれていることを、ミヲと徹生は知っていて、もちろんプレイヤー目線でもこの時点では理解しているけど、それを本人に伝えるシーンは残酷だけど胸熱だった。
真実を知った約子の
なのに自分が呪詛珠を持っていたらから美智代に復讐をさせてしまった
美智代の思いを踏みにじった
その後の「私がさっさと殺ればよかったんだ!」は「え?そうなるの?」と思ったけどw
にしても約子が真実を知って、気を失っている間に椅子に座らせておいて、起きたら「さぁこっくりさんやるぞ」ってちょっと鬼畜でおもろい。まぁ時間もないから四の五の言って場合じゃないんだろうけど。警察の目の前でこっくりさんが情報源として活用されている絵面もなかなか凄い。
「今の状況を忘れないことを行動で示せ」というのに対してセーブするのはいいんだけど、これ約子視点では何してるんかな?ミヲが言い出したから、何かしら約子がアクション起こしてないとおかしい気がする。
このセーブデータを消したら美智代に呪われそうだからずっと残していた小心者はこちらです。
灯野 あやめ
・津詰刑事の娘
・根島の娘(の可能性がある)
という設定マシマシ女。作中で「一体誰だ?」となった時は大体こいつだった。
『蘇りの秘術』を強烈に求めている一人。その目的が「葛飾北斎の復活」。
物語を読み進めながら、人情味溢れる津詰刑事の娘がコレというのはどうにもしっくりこなかった。あの父親から生まれた子供が、BAD ENDでは北斎を蘇らせるためだけに父親も殺し、大量殺戮までするサイコパスというのは受け入れがたかった。
なので「津詰の実の娘ではない」と判明した瞬間は思わず「よし!!」と声を出して喜んでいた。ぶっちゃけ根島の娘かはどうでもよかった。
自分は本来、物語を搔き乱す狂ったキャラは好きだ。しかし、あやめに関しては最後まであまり好きになれなかった。その理由は『行動理念の希薄さ』にある。
狂人キャラの比較として、例えば『ダンガンロンパ』の狛枝凪斗。
狛枝の行動自体は異常で常人には理解できなくても、「全ては絶対的な『希望』のため」という一貫した強烈な信念があるため「理解できないことを理解できる」という感覚で繋がり、それがキャラクターとしての魅力や説得力に繋がっている。
それに対してあやめは、葛飾北斎を復活させたい理由が「心の拠り所がそれしかなかったから」。この理由に強い違和感を覚えてしまう。というのも、北斎は最初から現代にはおらず、既に多くの作品を残して亡くなっている存在。そして彼女の拠り所となっていた絵画そのものは、今も世に存在している。拠り所を失ったわけではない。
そこから「人を殺してでも葛飾北斎を蘇らせる」という考えに至るまでの繋がりが薄く、どうしても違和感が拭えなかった。単純にあやめに感情移入できなかっただけかもしれないが、キャラクターとしての魅力を感じることが出来なかった。
それは別として、あやめが「春恵のことを狙ってる」って言って、あやめの顔がアップになって大量の質問が表示されるところはめっちゃ怖かった。ジャンプスケア的な要素は正直いらないけど、こういう怖さの演出はいいね。

総評
総評として「めっちゃよく出来たADV」だと思った。
「メタ要素」についても、各場面での描写が丁寧であるため、プレイヤー意識が「セイマン」であることに展開上の説得力がある。普段ノベルゲームをプレイしない人が、このゲームをプレイしたらさぞ衝撃的だったと思う。
物語の構成の出来の良さはもちろん、やはり自分にとっては『演出』が一番優れていたように感じる。ノベルゲームの表現の可能性を感じさせてくれる作品だった。
近い内に次回作の『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』もプレイしたい。


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