【ネタバレあり】『病能探偵』事件の完成度が高すぎる【感想・レビュー】

はじめに

こんにちは、Miyaです。

今回は『病能探偵』をクリアしましたので感想を記載します。

プレイ時間:27時間

結論としては、インディーゲーム特有の粗はあるものの、それを補って余りある複雑怪奇な事件と、それが綺麗に紐解かれていく快感がある作品だった。

以下に詳細な感想を記載します。

本記事は「ネタバレあり」の感想です。未プレイの方は「ネタバレなし」の記事をご覧ください。

【ネタバレなし】『病能探偵』複雑怪奇な事件が綺麗に収まる快感がスゴい【感想・レビュー】
『病能探偵』ネタバレなしのプレイ感想レビューです。「病能」を駆使した複雑怪奇な事件が綺麗に収束していく快感は圧巻。バグや操作性の粗はあるものの、『ダンガンロンパ』や『魔法少女ノ魔女裁判』好きにオススメできる本作の魅力を語ります。

 

良かった点

・二転三転する予測不能な事件と秀逸なトリック
・複雑怪奇な状況を収束させる高いシナリオ構築力
・章ごとに追加される役職による異なる展開
・違和感のある事象について説明する姿勢
・魅力的なキャラクター

気になった点

・海外インディーゲームなのでUIや文章に違和感におかしい点が多い
・バグが多い
・結末は好みじゃない

システム・演出

本作品は明確なデスゲームであるが、デスゲームを行うにあたり『人狼』の形式を取っている。役職が本人の希望に関わらず運営から与えられるという設定は『キミガシネ』に近い。

『人狼』に選ばれると制限時間以内に人を殺さないと自分が処刑される『理不尽さ』がありデスゲーム然としている。(個人的に強制はあまり好きじゃない)

このゲームの議論パートで行われるのが『世界創造』。

『ダンガンロンパ』の『ノンストップ議論』ではなく、『レインコード』の『推理デスマッチ』に近い。

奥に相手キャラの立ち絵があり、その上に名前が表示されているのが何とも言えずソシャゲのようなチャチさを感じる。動きも小さいので演出としても結構地味。

最後に行われる『真相再現』は完全に『ダンガンロンパ』の『クライマックス推理』そのまま。事件を振り返るシステムとして秀逸なので嬉しい。

処刑時はガッツリアニメが流れる。しかもかなり作画が良い。ゲームはアニメも取り入れようと思えばできるから強いですね。

 

事件のトリックが凝っている

各章の事件に関する所感は以下

1章:普通
2章:何が起こったかはわかるけどどうやってやったかわからなすぎて面白い
3章:『スーパーダンガンロンパ2』の狛枝の聖人バージョンで事件複雑すぎて面白い
4章:ここにきてトリプルキルだし何が起こってるかわからなすぎて面白い
5章:2、3、4章も何が起こってるかわからなかったけどそれ以上にわけわからなすぎて今までの病能のオールスターで面白い

1章はチュートリアル感が強いが、2章以降はどの事件も秀逸。

『ダンガンロンパ』であれば各タイトルの最後に持ってくるレベルの事件ばかりが揃えられている。

1章時点ではそこまで期待してなかったので、2章で「え、2章でこのレベルの事件持ってくるの?めっちゃ面白くね?」となり、3章で「やってること狛枝と同じじゃん・・・!あれ?狛枝と違う!!!」となり、4章と5章はわからなすぎて思考を放棄していた。

このとにかく翻弄されてる感が楽しかった。

事件の複雑さで言えば同ジャンルの中でもトップクラスだと思う。むしろこれ以上の作品があるなら教えてほしい。読むから。

どの事件にも『病能』が活用されているが、後から能力の詳細が明かされたり、そもそも自分の能力を隠していたり、後から能力が強化されたりと「言ったもん勝ち」な部分はある。

『魔法少女ノ魔女裁判』における『魔法』の扱いに近い。

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ただ『魔法少女ノ魔女裁判』の場合では、事件が起こった際、ほとんどの事件で肝になるトリックに『魔法』が使用されているため、『犯人がわかりやすい事件が多い』ということが個人的なマイナス点だった。

その点、本作はほとんど『魔法』に近い『病能』を使っておきながら、事件が複雑すぎて全く犯人が分からない。「ああ、自分はこういうのが見たかったんだ」と思い知らされた。きっと同じことを感じた人もいるはず。

また、本作品では事件が起きる前から証拠が手に入るため「ここで事件が起きる」とある程度察することは出来る。ただし、入手した証拠全てを『世界創造』で使用するわけではなく、ブラフに近いものも混ざっている(多分)。

そのため、自分は事前に犯人やトリックを考えることを諦めて、『こんなわけのわからない状況に対してどんな辻褄が合うシナリオを用意してくるのか』というスタンスで読み進めていた。

そして、その観点で見ると本作は非常にレベルが高い。

多少ご都合主義や違和感を覚える部分はありつつ『病能』という要素を各事件に組み込み、最終的に筋の通った形に収まるため、事件を紐解いていくのが非常に気持ち良かった。「こんなにちゃんと収まるんだ」と毎回感心させられた。

特に、3章で他者が発動している病能をそのまま活用したり、4章で共犯して複数の病能を組み合わせて法則があるように見せ掛けたり、5章で病能オールスターをしたり、『1つの事件につき病能は1つまで』のような縛りがなくやりたい放題だったのが個人的にめっちゃよかった。

ストーリーに『理教』という一本筋のミステリーが存在するが、それとは別に各章の事件もまた「犯人当ての推理モノ」というよりは「怪事件に迫るミステリー」に近い雰囲気を感じる。

それぐらいわけがわからない状態から審判が始まり、最後まで犯人がわからず二転三転する感覚は、他の類似作品と比べても際立って良かったと思う。

 

章ごとに変化がある

閉塞空間を舞台にしたデスゲームにおいて、『場面転換』はプレイヤーを飽きさせないためにも重要。本作では、会場を移動しているわけではないにもかかわらず、章ごとに新しい場所での事件が起こる。この点について物語上で強引さを感じず見せ方が上手い。

また、人狼形式であるため話ごとに新しい役職が追加される。

「勇者が人狼を殺せる」というのは実際に行われなかったものの、人狼の処刑の決定票を投じなければならなかったり、占い師となって最初から人狼が誰かわかっている状態で話が進んだり、人狼視点で話が進んでプレイヤーに「どうやって殺したのか」を考えさせたりと、単なるデスゲームではなく、話によって見え方が大きく異なるのが面白い。

3話で、アリスがフェイスのことを大事に思っている一方で、フェイスが神になった際に望む「誰もが素顔を見せ合える世界」はアリスが到底認められない世界であり、フェイスを処刑したくないのに、レナの「残るは真実のみ」によって『反対』に投じることができない、という構図は残酷である一方、物語としてめちゃくちゃ綺麗だと感心した。

また、4話で村人の『アリス』が、同じく村人の『ダダ』を殺っちゃってるのも実際の『人狼』ではあり得ないリア狂ムーブで面白い。(もちろん真相に辿り着くためなのでやむを得ないゾ!)

こういった展開や感情も、役職があるからこそ実現できてると思うので、物語に介入しすぎることなく良いアクセントになっていると感じた。

 

整合性を取ろうとしてくれる

「病能」という能力を扱っているので、どうしてもご都合主義であったり、違和感が生じたりする場面は出てくる。しかし、そういった事象に対して、言及せずにスルーするのではなく、作中でキャラクターからツッコミがあり、可能な限り説明をしようとしているのが好印象だった。

例えば、5章でアリスが『家族創造』を利用して神の種の海天使と繋がりハイバが登場した場面で「理の神の制御から逃れるために『完全記憶』を使って汚染される前に戻した」と言いつつ、5章で起きた事件について言及している。

このシーンを見て「汚染される前に戻したら事件の記憶もないのでは・・・」と違和感を抱いていたところに、モトウからその疑問を呈してくれる。

もちろん、こういった説明も『ご都合主義』と言えばそれまでだが、これぐらいのレベルだとあえて説明することなくスルーする作品も多々あると思う。そういった中で、作品内の設定で説明しようという姿勢を感じるのが非常に好印象だった。

 

魅力的なキャラクター

2章で11人(Xと絆がいない)が集まった段階で、各キャラクターの個性が立っており『覚えやすい』と思った。

本作はデスゲームであるため、早期に退場したキャラクターの掘り下げは薄くなりがちだが、後半になって(実質)『蘇り』のような形で再登場するため、デスゲーム作品における弱点をある程度補っている。

特に、2章の被害者である『コタリエ』は手や足を斬られても悲鳴すらあげないため「2章で殺されるために生まれてきたようなキャラ設定だな・・・」と気の毒に思っていたが、5章で再登場し、ある程度内面を知ることが出来て良かった。ありがとう理の神。

また、『アリス』が最後まで生き残るのは予想外だったし、ここまで味のあるキャラクターになるとは思っていなかった。正直すぐ殺されるか、殺すかして退場すると思ってた。ほんまごめん。

あと印象的だったのは『ハイバ』。

1章で出てきた時は結構甲高い声でワーワー騒いでて正直印象は良くなかった。そこから、毎回審判の初めにライルを疑うところから始めるのが定番になって、5章で「ライル、お前が今回の犯人だ」があんなに熱いセリフになるとは思わなかった。

あと、個人的にハイバが幻尋からボロクソに言われた時に、ほとんどツッコむことをせずに「・・・」と黙っているのがめっちゃ好印象。ここで「お前なぁ~!」みたいなテンションで漫才のような会話を広げられると絶対にシラける自信がある。

クリア後になんとなく『最初から』を押したら『番外編』があり、仲間たちの何気ない日常シーンを見ることが出来たのでまだ見てない人は見ると良いかも~。

 

結末は好みじゃない

4章の終わりで「理の神」が出てきたあたりから、ちょっと微妙さを感じていた。

そもそも、雷華やフェイスが人狼で勝者になるBAD ENDでは『理の神』が出てきた描写はなかったのに、ライルが勝利した時だけ『理の神』に体ごと乗っ取られるような形になることに納得がいかない。

ただ、『理の神』自体は結構良いキャラだった。

いわゆる『神』にありがちな人間を見下しているわけではなく「人間が好き」という言葉に説得力があり、人間に理解を示そうとしている。そして、別に挑む必要がなさそうな最終審判に挑み、かつ「とんでもなく難解な事件を起こしてくれた」という個人的な感謝がある。

イライラ

「ガキ」というにはちょっと成熟しすぎてる気がしますよ神

これ以上難解にされたらクリアできなくなっちゃいますよ神

もう少しで3桁でしたよ神

 

『理の神』に対して、仲間達が

・自分の生き方も死に方も自分で決める
・生きてればいいってわけじゃない

と延命を拒む姿は、彼らの生き様に対する信念や矜持を感じたし、作品のテーマとして受け取った。

 

だからこそ、最後に生き残ったライルの

・『世界創造』で世界そのものを騙す
・あいつらが今も存在する世界に変えてみせる

 という言葉にめちゃくちゃ引っ掛かった。

 

もちろん、プレイヤーとしては仲間たちにも生きていて欲しいと思うが

・『理の神』に見せた仲間たちの覚悟を踏み滲んでないか?
・仲間たちはそれを望んでた?
・それが通るなら『理の神』に従うのでよくね?
・というか『理の神』とやってること同じじゃね?

と思ってしまう。

よって、個人的には物語の締め方としては好みでなかった。

 

色々と粗はある

海外のインディーゲームであるため、粗がある点は多い。

例えば、『世界創造』や『真相再現』を始めとして、UIがわかりにくい。直観的な操作が出来ず、覚えるまで少し手間取った。

また、『世界創造』では何度がゲーム固まり再起動する羽目になった。

その他に、一度『世界創造』を行った後に、再度『世界創造』に入ると背景が黒くなり、動かしたカーソルが残り続けるバグが発生した。一応、この状態でも証拠を選んで反論してゲームの進行自体はできるものの、かなり興は削がれる。

なんだこれ!?

一度セーブしてロードすれば直るが、『世界創造』の度にセーブ&ロードする必要があるため非常に面倒臭かった。

その他、日本語訳が怪しかったり、字幕と流れるボイスが違ったり、ボイスがあるのになぜか流れなかったり・・・と、色々な点で欠点はある。

自分は内容が面白かったのでこれらの不具合があっても最後までプレイしたが、気になる人は途中でゲームをやめてしまう可能性もあるため、これからのアップデートで改善することに期待したい。

 

総評

インディーゲームの粗は目立つものの、とにかく事件のレベルが高く、読み進めていて『これどうなっちゃうんだ!?』というワクワク感を常に感じていた。
 

もちろん全くツッコミどころがないわけではないが、物語の中に『病能』という設定を落とし込みながら、綺麗に筋の通ったシナリオへ着地させるのは素晴らしい。その上、最後まで犯人が見えてこないスリルまで備わっている。

個人的に結末は好みではなかったが、それを差し引いても『ダンガンロンパ』にも負けずとも劣らない作品だと思った。

 

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