
こんにちは、Miyaです。
今回は映画クレヨンしんちゃん5作目「クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡」の感想を書いていきます。
こちらの記事はネタバレありです。
まだ本作品を見ていないという方は、ご注意ください。
また、クレヨンしんちゃん全映画のランキング・Tier表の記事も公開しているので、よければそちらもご覧ください。

『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』あらすじ
かつて暗黒魔人ジャークを封じ込めた埴輪と、ジャーク復活のカギとなる2つの“タマ”――。
――今、その“タマ”をめぐって、世界征服を企むホステス軍団と、それを阻止しようとするオカマ3兄弟の対決が始まった! “タマ”の1つをひまわりが飲み込んでしまったため、争いに巻き込まれたしんちゃん一家が東日本をまたにかけ、所狭しと駆けめぐる!!
銀座のクラブのママ玉王が率いるセクシーなホステス軍団に、世界一強~い男ヘクソンが加わって今度の敵もパワフル&パワフル!でも、絶対負けられないゾ!
『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』良かった点
『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』気になった点
はじめに
映画『クレヨンしんちゃん』シリーズ第5作目。
クレヨンしんちゃんファンから根強い人気を誇る作品。ひまわり初登場作品であるため、ひまわりにスポットが当たっている。エンディングテーマも「ひまわりの家」。
本作から本郷監督から原監督に変更。本郷監督の作品は「ヘンダーランド」を初めとしてファンタジー色が強かったが、原監督は現実世界に基づいた作風を特徴としている。(Wiki参照)
自分が現実的な話のクレヨンしんちゃん作品が好きなのは、好きな作品に原監督の作品が多いことが理由かもしれない。
総合的な完成度の高い逃走劇
本作は、全編を通じて『ひまわり』を軸にした逃走劇となっている。基本的にずっと逃避行ではあるものの、途中でひろしとよねが離脱したり、レモンとラベンダーが捕まったり、途中でひろしとよねが合流したり、最終的にひまわりが攫われたり・・・と、単に逃げ続けているだけではなく、その中でしっかり展開が用意されているのが面白い。
加えて、銭湯やスーパーマーケットなど、場面によって舞台となる場所も変わり、かつ日常に基づいた場所なのが現実味があって良い。また、シリアスとギャグのバランスが良く、起承転結がはっきりしており、場面転換も多いため最後まで飽きずに楽しめる。
アクションシーンも本作の大きな見どころであり、圧倒的な力を持つヘクソンに対して全員で立ち向かう最終決戦は迫力がある。
ひろしとみさえが『ヒデとロザンナ』の『恋は傷つきやすく』を二人で歌い出す場面も印象的。子供の頃に見た時はこの歌を知る由もなく、大人になってから調べた。なんでこの歌を選んだのかは定かではないが、演出も相まって盛り上がりが凄まじい。
別に本作は「歌」を主題にした作品ではないのに、ヘクソンという強敵を打ち破る手段がなぜか「歌」である荒唐無稽さもクレヨンしんちゃんらしい。朝日が登ると共にカメラアングルが上に登っていき、下からのアングルに切り替わる作画・演出が華やかで好き。

最後にひまわりを助けるため、全員で飛び込むシーンも印象に残る。『物理的に無理でしょ』と言いたくなる救出劇ではあるが、現実では絶対に無理だからこそアニメで映えるアクションであり、アニメならではのカタルシスを感じられる。

最後は朝日の中で千葉県警に手を振る爽やかな終わり方で後味が良い。

まぁ冷静に考えると
・何も起こらなかったのに珠黄泉族は何の罪で逮捕される?
・エンディングでよねが表彰されてるのはなぜ?
などの疑問は残るが、あまり気にしてもしょうがない。
全体を通じて、ストーリー、ギャグ、アクションのバランスが良く、作品として総合的な完成度が高い。
個性豊かなゲストキャラクター
本作では、かすかべ防衛隊の面々が本編に登場せず、野原一家とゲストキャラクターを中心に物語が進む。しかもゲストキャラクターの人数は他作品と比較しても多い。それにもかかわらず、全員キャラが立っており、ストーリーに面白みを加えている。
この魅力的なゲストキャラクターが本作の一番の魅力だと思う。
珠由良ブラザーズ
最初の空港での乱闘騒ぎから始まり、しんのすけがタマを持ち帰ってから全編通してほぼ同行している。3人ともキャラが立っており、しんのすけともノリが合っているため会話が面白い。ギャグ要員のみで終わらず、ちゃんと強くて心強い。

中でも印象に残るのはローズ。途中で離脱せずに野原一家と行動し、しんのすけのお兄ちゃんとしての悩みにも寄り添うなど、子供を見守る大人としての一面もあり、キャラクターとしての魅力を深めている。
東松山よね
警察という立場ではあるものの、今回の諍いと直接関係がないにもかかわらず、最後まで付き添ってくれる。「やっと銃を打てる事件に巡り合えた・・・・」とか言っちゃうおかしい人。ポンコツだけど愛らしいところがある。「あ、それ山」ではヘクソンに対して立ち向かい、銃をなくした後も肉弾戦で応じたり、最後のヘクソン戦にも珠由良ブラザーズやサタケと並んで戦ってくれたり、ポンコツではあるけど臆することがないのが好印象。
正直、物語上で重要な役割があったかというと特にないが、最後にヘクソンに銃を当てるし(しんのすけのお陰だけど)、物語の中でボケとツッコミを両方担ってくれているので、本作のムードメーカー的な存在だと思っている。よねがいるといないとでは面白さがかなり違うと思う。
サタケ
ベタだけど、ずっと戦っていた敵が味方になってくれる展開はやはり胸熱。珠黄泉族の中でもぞんざいに扱われたり、元々ベビーシッターで子供好きな描写もあり、ひまわりが泣いている姿を見て寝返ることを決意するのも物語としての整合性があって良い。
ヘクソン
クレヨンしんちゃん映画に登場する人間の中で一番の強敵と思われる。なんとか逃げおおせて「あ、それ山」に逃げ込んだにもかかわらず、単身で乗り込んできたヘクソンに全員が敵わずに倒れていく様は強キャラ感を遺憾なく発揮している。
玉王ナカムレ
常に丁寧な口調で喋る珠黄泉族の親玉。ひろしの名刺交換を邪魔しなかったり、敵ではあるものの卑怯ではなく、フェアプレイ精神が敵としての格を上げてる。車で去っていくしんのすけに対して手を振ったり茶目っ気があるのが良い。
チーママ・マホ
作中では短気で冷酷な敵として描かれてる。こういった明確な敵役も物語を締めるのに一役買っていると思う。とはいえ、ただ冷酷なだけでなく、通販番組のノリを始めたり、玉王の言動にずっこけたりと、クレヨンしんちゃんらしいコミカルな一面も持ち合わせている。スーパーでのラベンダーとの一対一の戦いでも勝利し、サタケにも優勢になるなど戦闘力が高いのも良い。
兄としてのしんのすけ
本作では、しんのすけがひまわりばかり可愛がられていることに対し、自分が蔑ろにされていることに文句を言うシーンがある。テレビ放送回でも扱われている話ではあるが、ひまわりの初登場作品ということで、このくだりを入れたのだと思う。
「あ、それ山」にて、ひろしから「誰だって守られて生きてきた。だから今度は俺たちがひまわりを守ってやらなきゃな。もしも自分に何かあった時はひまわりを守ってやってくれよ。」と言われ「考えておく」と言いつつ、その後はひまわりを守るお兄ちゃんになっている。
この単純さがしんのすけらしくて良い。
「何もしなくても何も起こらなかった」というオチ
作中を通じてタマを巡る逃亡劇を繰り広げていたにもかかわらず、ヘクソンを倒した後に、しんのすけとひまわりがタマを入れてしまう。そしてジャークが復活するも、賞味期限切れで魔力もないただのオカマになっていたことが判明する。
結果だけを見れば、存在しない脅威のために全員が一丸となって戦ってたということになるので、作品通じて「今までやってきたことはなんだったんだよ」という茶番感は否めない。
まぁ、それについてはみさえとひろしも同じことを言っているし、そのバカバカしさが「クレヨンしんちゃん」らしいとも言えるけど。
大笑いするようなギャグや感動的なシーンは少ない
作品を通してシリアスとギャグのバランスは良いものの、「ヘンダーランド」や「ヤキニクロード」のように、大笑いできる明確なギャグシーンがあるわけではない。とはいえ、作品の雰囲気を壊さない思わず笑ってしまうような小さいボケが散りばめられているので、笑えない作品というわけではない。
例えば、誰かが何かを言った後に、周りが無言であきれ返る演出。
今作で言うと、よねの「その名は捨てたわ・・・グロリアと呼んで」の後に白けるシーンや

カヌレに対して「お尻の穴みたいなやつね」といった後に無言で汗をかくシーンなどが分かりやすい。

その他にも、今作にはボケの後に何も言わずに無言で呆れたり白けるようなシーンが多い。前作の「ヘンダーランド」ではこういった演出はあまりなく、次回作の「ブタのヒヅメ」では同じような演出があるため、原監督の手法かもしれない。
単なるボケとツッコミだけではなく、無言も一つの演出として成立しているのが面白い。作品の雰囲気を過剰にコミカルに寄せることなく、それでいて「静の笑い」として提供しているように思える。昨今のクレヨンしんちゃん作品ではあまり見ない。
また、本作はシリアスな話ではあるものの、特に感動的なシーンがあるわけではない。しんのすけが兄としてひまわりを守る姿は描かれるが、泣かせることを目的とした作品ではなく、仲間と力を合わせて強敵に立ち向かう一体感を楽しむ作品という印象。
ただ、そういった観点で見ると、最終決戦にシロがいないことは少し寂しい。新幹線でシロをぬいぐるみ扱いしてポンポン投げた挙句に置き忘れるシーンは面白いが、「最終決戦に参加してほしかったな~」とは思う。
総評
ひまわりを軸にした逃走劇を、魅力的なゲストキャラクターたちが盛り上げる作品。基本的には逃避行だが、その中で登場人物の離脱や合流、舞台の変化、ひまわりの誘拐といった展開が用意されているため、最後まで飽きずに楽しめる。
本作最大の魅力は、やはりゲストキャラクター。多くのキャラクターが登場するにもかかわらず、それぞれに個性と役割があり、作品を彩っている。ストーリー、ギャグ、アクション、キャラクターのバランスが良く、作品としての総合的な完成度が高い。
何か一つの要素が突出した作品というより、全体のバランスの良さで最後まで楽しませてくれる作品。

いかがだったでしょうか?
ぜひ皆さまの『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』に関する感想について、コメントをいただけますと幸いです。


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